教員に聞くリベラルアーツ×AI

～AI時代だからこそ“人のあり方”の重要性～

1. リベラルアーツとは何か？AI時代におけるその意義

リベラルアーツは、単なる専門技術の習得に留まらず、広範な知識や思考力を育む教育理念です。この理念は、批判的思考や創造力を大切にし、学生に幅広い視野を持たせることを目的としています。近年のAIの急速な発展に伴い、リベラルアーツの重要性はますます増しています。内山泰伸教授は、AIが引き起こす様々な社会的課題を解決するためには、人間の視点や倫理観が不可欠であると語っています。

AIとリベラルアーツの関係

AI技術が進化する現代では、テクノロジーの進化を理解し、その影響を考察しつつ、社会と調和する方法を模索することが求められています。リベラルアーツ教育は、そのような視点を提供します。具体的には、倫理学や社会学を学ぶことで、AI導入後の課題を理解し、適切な解決策を見出す力が養われるのです。これにより、学生は専門知識とともに、多角的な視点を持つことが可能になります。

人間らしい能力の重要性

AIの進化は、我々の生活や仕事に多大な影響を与える一方で、人間らしい思考やコミュニケーション能力の価値を再評価させます。AIでは代替できない分野—たとえば、人間同士の感情的なつながりや、多様な価値観の理解—がますます重要になってくるでしょう。このような背景から、リベラルアーツはAI時代における教育において、基盤となる重要な要素として位置づけられています。

2. AI時代に求められる“人のあり方”

立教大学の内山教授は、AIの普及に伴い、学生に必要とされる“人のあり方”について考察しています。それは、知識の深さとともに、人間性を重んじ、共感する力を育むことです。AIがデータに基づいて判断を下す一方で、感情や倫理的な判断が求められる場面では人間が必要です。このため、内山教授は人間性を磨くための学びを教育課程に取り入れています。

AIと職業の変化

AI技術の進化は、仕事の内容にも変化をもたらします。以前は人が行っていた作業がAIに取って代わられる一方で、新たな職業も生まれることでしょう。この変化に柔軟に対応するためには、独創的で革新的な考え方が不可欠です。リベラルアーツ的な教育は、幅広い知識と経験を持ち、革新的なアイデアを生み出すための土壌を提供します。

社会貢献への道

立教大学では、リベラルアーツを基盤にしたカリキュラムを提供し、学生が多様な価値観を理解し、社会に貢献する姿勢を培っています。AIを操るだけでなく、AIと共存しながら人間にしかできない役割を果たすための力も身につける必要があるのです。このように教育を通じて人間性を育むことは、AI時代における人材育成において重要な指針となります。

3. 立教大学のAIを巡る学びの展望

立教大学の「人工知能科学研究科」は、日本初のAI専門の大学院として、リベラルアーツとAIを融合させた新しい教育体系を構築しています。内山教授は、AI技術を深く理解し、実践的に活用する能力を養うことが未来の社会に貢献する人材を育成するために不可欠であると述べています。

AIの実践的利用

また、理学部でのAI活用は、学生の研究活動にも影響を与えています。AIを用いたデータ分析やモデリングが多様な分野で行われ、実際のビジネスや社会問題に即したプロジェクトが展開されています。その結果、学生が学んだ知識を実社会の問題解決に応用する機会が増えています。

人間とAIの共生

AIが進化することで、私たちの生活や社会は根本的に変わるでしょう。しかし、リベラルアーツに基づく教育が行われることで、人間の感情や倫理を考慮した社会が形成される可能性が高まります。立教大学はその先駆けとして、リベラルアーツとAIの融合を進めより持続可能な未来を築くための人材を育成することに取り組んでいます。これからの時代を担う人材がどのように成長していくのか、注目が集まります。